福島第一原発「汚染処理水」の海洋放出 安全なら生活用水として使えばいい!(ラサール石井)
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原発処理水放出反対集会=昨22日(C)日刊ゲンダイ
【ラサール石井 東憤西笑】#168 先日岸田首相が福島原発を視察し、漁業関係者と会談したと思ったら、早ければ24日にも処理水の海洋放出が始まるという。早すぎる。スケジュールありきで進んでいたとしか思えない。
かつて福島原発の汚染処理水の海洋放出が検討された際、麻生太郎氏は処理水について「飲めるんじゃないですか、普通」と言い放った。
先頃も「台湾有事」についてキナ臭い発言をした麻生氏はこれまでも暴言、問題発言を繰り返してきた。それ自体がまるで汚染水をまき散らしてきたような政治人生だが、政府にとってはガス抜き、観測衛星の役割を果たしてきた。何やらいよいよ引退、またもや次に世襲させて退くという噂もある。はい。ご苦労さま。余生は毎日飲めると言った処理水をずうっと飲み続け、自ら安全性を証明して日本に貢献していただきたい。
この処理水はALPSという。「多核種除去設備」の英語表記の頭文字を集めた略語だが、うまく考えたものだ。ALPS処理水と言えば「アルプスの天然水」のような浄化された響きがある。
しかしトリチウムが希釈されただけで、他の放射性物質もなくなったのではない。 辛坊治郎氏がALPSを見学した際、係の人がビーカーに水を入れ「飲めるんです」と言ったので「飲んでください」と返したら「ちょっと勘弁してください」と断ったそうだ。
そもそも飲める水なら海洋放出ではなく生活用水として使えばいい。実際そういう提起はあったが、日本政府は「積極的に被ばくするのは望ましくない」「相当な調整と時間を要する」と答えたらしい。
いやいや「相当な調整と時間を要する」のは海洋放出のほうだろう。漁業関係者と「関係者の理解なしに、いかなる処分もしない」とした約束はどうなったのか。 海はゴミ捨て場ではない。捨てたものは微生物、それを食べる魚に蓄積され、我々の食卓に返ってくる。
風評被害に責任を持つと岸田首相は豪語しているが、どうせ金で解決するのだろう。しかしその元を作ったのは国であり東電ではないか。作った元を海に流すのはやめてくれ。 (ラサール石井/タレント)